COLUMN
<第49号>

改正雇用対策法および改正雇用保険法

1.改正雇用対策法および改正雇用保険法の施行

 平成19年10月1日より、改正雇用対策法および改正雇用保険法が施行されました。主な内容は次の通りです。
 【改正雇用対策法】
  @ 被保険者資格区分及び受給資格要件の一本化
  A 外国人の雇用状況等の届出の義務化 等
 【改正雇用保険法】
  @ 募集・採用に係る年齢制限禁止の義務化
  A 育児休業給付金の改正
  B 教育訓練給付金の要件・内容の見直し
  C 特例一時金の減額 等

2.人事総務担当者が抑えておきたい、募集・採用時の年齢制限禁止について

 本稿では、人事総務担当者の方に抑えていただきたい主な改正点として、募集及び採用時の年齢制限の原則禁止を取り上げたいと思います。
 労働者の募集及び採用について、「年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」(改正雇用対策法10条)。改正前は努力目標だった求人時の年齢制限について、年齢制限がやむを得ないと認められる合理的な理由がある場合を除いて禁止されることになりました。
 この年齢制限の禁止は、ハローワークを利用する場合をはじめ、民間の職業紹介事業者、求人広告などを通じて募集・採用する場合や事業主が直接募集・採用する場合を含め、広く募集採用を行うに当たって適用されます。年齢不問として募集・採用を行うためには事業主が職務に適合する労働者であるか否かを個々人の適正、能力などによって判断することが重要です。

3.年齢制限が認められる例外事項

 一方、例外的に年齢制限を行うことが認められる場合は、次のいずれかの例外事項に該当することが必要となります。
1号
 定年年齢を上限として、当該上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
 【認められる場合(例)】
  ・「60歳未満の方を募集(定年が60歳)」
 【認められない場合(例)】
  ・上限年齢と定年年齢が一致していない場合〜「60歳未満の方を募集(定年が63歳)」
  ・下限年齢を付している場合〜「40歳以上60歳未満の方を募集(定年が60歳)」

2号
 労働基準法等法令の規定により年齢制限が設けられている場合
 【認められる場合(例)】
  ・「18歳以上の方を募集(労働基準法第62条の危険有害業務)」
  ・「18歳以上の方を募集(警備業法第14条の警備業務)」

3号のイ
 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
 【認められる場合(例)】
  ・「35歳未満の方を募集(職務経験不問)」、「40歳未満の方を募集(簿記2級以上)」
    (必要な免許資格を定めていても、実務経験を有する資格でなければ認められる)
 【認められない場合(例)】
  ・職務経験を付している場合 「40歳未満の方を募集(□□業務の経験のある方)」
  ・下限年齢を付している場合 「20歳以上35歳未満の方を募集」

3号のロ
 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種(技能・ノウハウの継承が必要となる具体的な職種)において労働者数が相当程度少ない(同じ年齢幅の上下の年齢層と比較して労働者数が1/2以下である場合等)特定の年齢層(30歳〜49歳のうちの特定の5〜10歳幅の年齢層)に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
 【認められる場合(例)】
  ・□□社の電気通信技術者として30〜39歳の方を募集
   (□□社の電気通信技術者は、20〜29歳が10人、30〜39歳が2人、40〜49歳が8人)」
 【認められない場合(例)】
  ・「30歳から49歳」の範囲に収まっていない場合
   「□□社の電気通信技術者として25〜34歳の方を募集」
  ・年齢幅が「5〜10歳」を超えている場合
   「□□社の電気通信技術者として35〜49歳の方を募集」

3号のハ
 芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請がある場合

3号のニ
 60歳以上の高年齢者又は特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場合に限る。)の対象となる者に限定して募集・採用する場合

 従来、年齢制限を設けた求人票については、公共職業安定所で指導対象とされるに止まっていましたが、今後は資料の提出や説明を求められたり、受理自体を拒否されることも考えられます。
 さらに詳しい内容は、厚生労働省が作成している、リーフレット等での確認していただくか、ハローワーク、外国人雇用サービスセンターへ、お問い合わせ下さい。


専門家プロフィール
本村 正勝

【プロフィール】

退職金・人事コンサルタント・社会保険労務士
昭和57年南山大学経営学部経営学科を卒業し、株式会社協和銀行(現りそな銀行)入行、家電量販店総務部勤務を経て、開業し現在に至る。

◆得意・専門分野
退職金制度コンサルティング゙、中小企業向け人賃金コンサルティング゙、助成金受給手続き、就業規則等の作成見直し、労災申請等の諸手続き

【アシストマネージメント】
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