COLUMN
<第42号>

中小企業の事業承継対策としてのMBOの活用

1.社員・役員に後を託すMBO

 中小企業の経営者(特にオーナー系)が引退を検討する時、事業承継の選択肢は実際には非常に限られている。子供がいる場合は同族で継ぐことが多いが、子供がいない場合や子供が後を継ぐ意思がない場合は、上場でもしない限りは、会社を売却するか清算するかという選択に迫られる。しかしもう1つ選択肢に“MBO”があると認識している経営者はまだ非常に少ない。
  MBOとはManagement Buy Out の頭文字(直訳:経営陣による買収)中小企業のオーナー社長にとって、自分の会社の株式や経営権を誰に譲るかは非常に重要な問題だが、最近徐々に中小企業にもM&Aが浸透し始め、いざとなれば会社を第三者に売るという決断をする経営者が増えている。 しかし事業を譲り渡す相手はなにも第三者(社外)ばかりとは限らない。苦労を共にして来た社員や役員(社内)にできれば後を託したい、と思うオーナーは多い。後を継ぐ社員・役員達がオーナーからその持株を買取ることで会社の永続がかなう。これが“新経営陣による事業の買収=MBO”、平たく言えば「現代版ののれん継承」である。

2.事業承継のためのMBOファンド

 しかし、利益の蓄積や業績が好調な会社はその株式の評価額が高くなり、全株式の価値が数億円という話も珍しくはなく、その資金を社員・役員だけで出すのは困難となる。そこで活用されるのが“事業承継のためのMBOファンド”である。
  このファンドは事業承継ニーズのあるオーナーから新経営陣と共にその株式を買取り保有する。ファンドはオーナーから株式の原則過半数、乃至は100%まで買取りを検討し、新経営陣には経済的負担が極力発生しない形で実際の会社運営を託すことを可能とする。

ファンドを活用するメリットは以下の様な点が上げられる。
○ 現在の雇用を維持し、企業文化を継承できる。
○ 特定企業の系列下に入らず、今の取引先との関係維持が可能。
○ オーナーは株式売却により創業者利潤が獲得できる。
○ オーナーは借入金の個人保証や担保提供から解放される。
○ 新経営陣は、経営の裁量権が拡大し、モチベーションがUPする。

3.第三者の売却であるM&Aとの違い

 整理すると、MBOとは会社を社員・役員に残す(託す)ことであり、その資金的な課題に応えるのがMBOファンドと言える。会社を誰かに譲渡するというのはオーナーにとって決して簡単なことではない。特に中小企業のオーナーにとって自分が長年育ててきた会社やそこで働く社員達は家族のような存在に近い。
  そこでM&Aにはどうしても抵抗を感じるというオーナーが多いのも事実である。MBOはそんな社員達のことを大切に思う中小企業のオーナー経営者にこそ最も向いている手法と考えられる。
 弊社、日本プライベートエクイティ鰍ヘ中小企業の事業承継支援に特化している。事業の永続、社員の雇用確保、オーナーのハッピーリタイアを実現することを基本理念としている。

【日本プライベートエクイティ(株)の沿革】

親会社:日本アジア投資梶iJASDAQ)経済同友会母体で発足した独立系最大手ベンチャーキャピタル。
パートナー:鞄本M&Aセンター(東証マザーズ)中小企業の事業承継のためのM&A仲介業の草分け。

 



専門家プロフィール
佐々木 優樹

【プロフィール】
1990年日本アセアン投資株式会社(現・日本アジア投資株式会社)入社。
15年にわたり地方の中堅企業からバイオベンチャーまで幅広い分野、ステージの企業への投資・育成、EXIT業務に携わる。
2005年にJPE入社。税理士事務所、コンサルティング会社への事業承継問題のアドバイス業務を担当。シニアコンサルタント。

【日本プライベートエクイティ株式会社】
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