COLUMN
<No.5>

「中小企業における会社分割の活用」

1.会社分割とは
 会社分割は平成12年の商法改正により新たに新設された制度です。会社分割とはある会社が営業の全部もしくは一部を取り出し、別の会社に承継させ、その営業分野を外部に出す仕組みです。承継させる別会社は新たに設立しても良いし、すでに存在している会社でも構いません。承継させる会社を新設する場合を新設分割といい、すでに存在している会社に承継させる場合を吸収分割といいます。会社分割とは営業内容を他社に承継させるものなので、会社分割というより営業分割と考えたほうが分かりやすいかもしれません。
2.事業買収

 会社分割には分割する会社だけでなく、承継する会社にもメリットがあります。たとえば他社の営む一部の事業を買収することができます。これまでは会社全部を買い取るか営業譲渡をうけるしかありませんでした。会社全部を買収する場合は欲しい事業以外のものまで取得しなければなりませんでした。営業譲渡は欲しい事業だけ買い取ることができますが、その営業を構成する資産、債務等についてそれぞれ手続きをしなければなりません。また会社分割は一部の事業だけを売却することももちろんできます。

3.持ち株会社

 持ち株会社化することによって、経営者は事業全体を戦略的にみることができます。各子会社の経営者には事業に専念させ、事業責任を明確にすることができます。
 事業承継を考えた場合には、後継者の育成にも役立ちます。例えば父親が事業全体を統括し、子供が子会社の経営を行うことにより会社経営の訓練をすることができます。

4.企業の相続対策

 親が会社を経営しており息子二人がその会社にいるとすると、その会社を息子二人にそれぞれ分割して相続させることは今まではできませんでした。しかし会社分割の方法を使えばそれは可能になります。その会社が不動産業と建設業を営んでいたとして、相続対策として建設業を分割して新会社を設立しておけば、兄は不動産業の会社、弟は建設業の会社を別々に相続することができます。もちろん、ひとつの業種を分割することもできます。会社の支配権をめぐって株主間で争いが繰り広げられることはそんなに珍しいことではありません。その典型例が兄弟間の争いでしょう。このようにすれば一つの会社を兄弟別々に相続し、兄弟間の争いが生じることを防ぐことができます。

5.中小企業同士の事業統合

 中小企業ではオーナー社長が死亡、もしくは老齢で引退する場合に会社の後継者がいないという場合があります。このような場合に、会社を解散させるのではなく、従業員を含めた営業を会社分割する形で同業他社に承継させることもできます。

4.企業の相続対策

専門家プロフィール
金子英之

【プロフィール】
平成8年南山大学法学部卒業後、
一般企業勤務を経て平成13年司法書士試験合格、
平成14年行政書士試験合格。
司法書士・行政書士角田事務所勤務の後、
平成15年1月事務所開設。

【得意分野】
相続・贈与・売買等の所有権移転その他不動産関連登記、株式・有限会社等の設立、役員変更その他会社関連登記、訴状等の民事訴訟他各種裁判所提出書類の作成など、諸官庁への提出書類や許認可業務。

【司法書士・行政書士金子英之事務所】
〒488-0043
愛知県尾張旭市北本地ケ原町二丁目93番地
TEL: (0561)53-1249 FAX: (0561)53-1168
E-mail: kaneko-0521@biglobe.ne.jp

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