COLUMN
<第29号>

経営者のための経営計画(3) 〜経営計画を具体化するには〜

 前回は、「社長がどのようにして全社員に目標を示すのか」を考えました。そこで今回は、作成した目標を、「絵に描いた餅」にしないためにも、どのようにして計画を達成するのかを考えてみたいと思います。
  目標を作るのは社長の仕事でも、目標を達成するのは社長一人では不可能です。つまり目標達成には社員の協力が不可欠なのです。そこで、目標達成の方法を考えるときには経営幹部や全社員も一緒になって考えることが大切になります。
 また、目標達成の方法は具体的なものでないと意味がありませんので、予測が困難な長期(5年間)のものではなく、具体的な短期(1年)のものに絞って作成を行う必要があります。
 それでは、実際の手順を確認していきましょう。

■部署目標・行動計画の立案
 まずは、社長の作成した目標を「中期目標」「当期目標」「要求定義」に分けて経営幹部に説明し、各幹部はそれをもとに部署目標を組み立てます。
 部署目標作成時のポイントは「全社目標に合致していること」「具体的なアクションプラン(行動計画)に落とし込まれていること」の2つです。
 また、月別数値目標の作成を行うため、要求定義に沿った売上目標や管理可能な経費等の作成を部署別に行います。
■月別数値計画

 各部署から目標と数値計画が上がったら、社長と現場のすりあわせを行いながら全社数値計画の策定を行います。
 基本的には中期5ヶ年計画の立案と仕組みは同じですが、年度単位ではなく月別に各部署の行動計画を踏まえて計画の作成を行います。
 これにより、中期目標と社長の要求定義に沿った当期目標が最終決定されます。
 また、これらの手順に沿った計画作成は以下のような効果をもたらします。
1. 実現性の高い目標の作成
2. 現場責任体制の強化
3. 経営参画意識の向上

■経営計画発表会
 月別の数値結果が完成したらその結果を社長・幹部・社員の全員で確認をするために経営計画発表会を開催します。経営計画発表会の目的は、「全社員と共に方向性を確認する」こともありますが、もう一つ重要な視点は「経営者・経営幹部の責任を明確にすること」です。
 「人・物・金」を動かすことができ、意思決定権の全てを握っている経営者・経営幹部は結果に対して100%の責任を負います。発表会は経営者にとって勇気のいる行事である反面、目標達成には欠かすことにできない経営者の重要な責務の一つでもあります。
 また、完成した経営計画書は社長だけが持っていても目標は達成できません、全社員に渡します。目標は全社員で達成するものだからです。
 5年後の目標を達成するために今年行わなければならないこと。それを、社長だけではなく幹部や全社員が参画して作り上げる。そして経営計画発表会を行うことにより「社長の目標」は「会社の目標」へと変貌を遂げるのです。そうなれば、目標の50%は達成できたも同然です。
 はじめから全ての手順を全社員で実践することは難しいかもしれませんが、社長、幹部から始めて少しずつステップアップしていくことにより必ず全社員で実践ができるようになります。一度、全員体制での経営計画立案を行ってみてはいかがでしょうか。
 
 

専門家プロフィール
楯 泰治

【プロフィール】
昭和63年京都大学農学部農林経済学科を卒業し、株式会社富士銀行(現みずほフィナンシャルグループ)、監査法人伊東会計事務所(現中央青山監査法人)勤務を経て、開業し現在に至る。

【得意・専門分野】
中小企業の事業承継対策・会計管理をベースにした経営コンサルティング、株式公開支援、企業組織の再編、会計監査、ディスクロージャー、公益法人の指導、内部管理体制の整備・運用。

【公認会計士 楯泰治事務所】
〒460-0008 名古屋市中区栄1−16−16 チサンビルサカエ204号
 TEL 052-211-1315 FAX 052-211-1316
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