COLUMN
<第21号>

経営のための経営計画〜社長の示す目標〜

今回は、社長の示す目標について考えてみたいと思います。
社長が示す目標(経営理念・経営目標)は何のためにあるのでしょうか。
思うに経営計画の効果の中に社長の的確な意思決定、信用力の強化、そして企業の活性化があります。経営理念や経営目標があることによって目標から外れない意思決定が可能であり、また真摯な経営理念・経営目標は信用力の強化につながります。
そして、最大の目的は社長の理念やビジョンが社員に心底伝わることで、企業の活性化が可能となるという点にあるのです。経営理念・経営目標は社長が社員に伝えるために最大限の力を投入する必要があるものといえます。

■全社目標

 全社目標には以下のものがあります。
1.経営理念・経営目標
 ”この会社を通して社員と一緒に何を実現したいのか”を社長の言葉で表現してください。経営理念は、まさに会社のバイブルなのです。長い経営理念・経営目標は社員には入りにくいものです。簡潔で社員にわかりやすいもの、そして全社員の日々の仕事に活かされるものがいいでしょう。

2.中期経営目標
 3〜5年先の会社のイメージをまとめます。事業領域(どの市場に何を売っていくのか)と事業規模(売上高・組織・顧客数など)を3つぐらいにまとめて社員に伝えるのが効果的といえます。社員のやる気が出る明るい目標を作りたいものです。

3.当期経営目標
 中期経営目標の次は当期の具体的目標を立てましょう。ここは3〜5年先の会社の目標からフィードバックして今期何をしなければならないかを示します。また、全社員が成長するための努力が必要な目標であることも大事な視点です。

4.中期目標達成プロセス
 3〜5年先の目標を一気に達成することは難しいものです。そこで目標までの戦略・戦術を練ってまとめてみましょう。戦略戦術は「販売・生産性」「商品・市場」「人・組織」「その他(生産・人事制度・設備投資など)」などのジャンル別にまとめます。なお、戦略戦術の検討は経営会議の重要テーマとなります。

■自社分析

 実際に全社目標を立てる際はより戦略性を持たせるため自社分析をお勧めいたします。自社の「強み」や「課題」を整理することは戦略を練る上で必要不可欠なのです。具体的には、利益の源泉である「販売力分析」と企業の基本となる「体力分析」があります。

■数値計画
 数値計画では社長の戦略に基づいた数値の見通しを確認します。具体的には販売戦略に沿った売上、変動費、粗利計画や目標達成に必要な人の採用や設備投資などの必要予算、そして回収・支払条件等を加味することで、「採算はとれるか・キャッシュフロー見通しはどうか・自己資本の充実は図れるか」を確認することが出来ます。
又、将来予測しうるリスクを踏まえて条件を変更することで様々なパターンでのシミュレーションを行います。意思決定の幅が広がり不測の事態への対応も自信をもって行うことができます。
 シミュレーションした結果は5年間の売上分類別売上高、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書として確認します。
 専門のパソコンソフトを活用することで経営計画の作成時間は意思決定に多く費やすことが可能となります。人の作文では真に社員と語りあえません。社長の思いのこもった経営計画書を作ってみてはいかがでしょうか。

専門家プロフィール
楯 泰治

【プロフィール】
昭和63年京都大学農学部農林経済学科を卒業し、株式会社富士銀行(現みずほフィナンシャルグループ)、監査法人伊東会計事務所(現中央青山監査法人)勤務を経て、開業し現在に至る。

【得意・専門分野】
中小企業の事業承継対策・会計管理をベースにした経営コンサルティング、株式公開支援、企業組織の再編、会計監査、ディスクロージャー、公益法人の指導、内部管理体制の整備・運用。

【公認会計士 楯泰治事務所】
〒460-0008 名古屋市中区栄1−16−16 チサンビルサカエ204号
 TEL 052-211-1315 FAX 052-211-1316
 E-MAIL ytate@sb.starcat.ne.jp


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