COLUMN
<第44号>

財務体質強化 〜逓増定期が課税の方向〜

1. 逓増定期保険が課税の方向

 これまで、法人の節税策として利用されることの多かった、保障が逓増する逓増定期保険を課税する方向で、税務当局が検討に入ったとのことである。(3月下旬、生保協会へ当局より連絡)
大企業と違い、毎期の業績が安定しない中小企業にとって、一時的に課税の繰延べ(出口は利益計上)として活用するなどに非常に有効な商品であったが、行き過ぎた節税商品に網をかけていくということであろうか。あるいは、足元の郵便局が逓増定期保険を取り扱うことになり、動かざるをえなかったのだろうか。

2. 既契約の対策

 既に、契約している逓増定期保険対策は、どうすればよいのだろうか。どのように見直していくかは非常に流動的要素・変動要素が多い。すなわち、

●いつどのように課税されるか(半損、4分の1損金他)
●既契約の契約後の期間・現状の返戻率・今後の返戻率推移は
●既契約の保険加入目的は(退職金準備、財務対策他)

 いつどのように課税されるかを予測し、実際の返戻率推移をふまえ、継続すべきか、解約すべきか、その損得をシミュレーションし判断していく必要がある。また、税務上の継続性処理の観点・自社の業績予想の観点からも併せて検討が必要だろう。
 さらに、退職金準備目的などの場合、実際の退職時期・予定の退職金を踏まえ、その見直しが可能か、また代替商品も含め検討していく必要がある。


3.今後の資金運用

 全損商品には逓増定期保険のほかに、まだがん終身保険があるが、現状の税務当局の動きからみて、ゆくゆくは課税されると考えて対策しておいたほうがよいだろう。逓増定期保険に代わる商品が新たに開発されるかどうかは、まだわからないが、いづれにしても魅力的な節税商品は期待できそうにない。
 では、今後事業の余裕資金をどのように蓄積し運用していくべきであろうか。節税といっても、課税の繰延べである。貯蓄商品で増やし、出口で損金処理と、頭を切り替えるしかない。時間をかければ、税を加味しない単純返戻率で、逓増保険の実質返戻率並みの金融商品などもあるのである。もちろん、事業の設備投資・先行投資による将来のファンド作りが基本であることはいうまでもない。

 



専門家プロフィール
舌古 孝之

【プロフィール】
経営コンサルタント ファイナンシャルプランナー(CFP)
早稲田大学商学部卒業後、銀行勤務を経て、名南経営センター(名古屋)に入社し、中堅中小企業の会計・経営指導業務に関わる。
2003年(株)Jパートナーを設立、それぞれが独立した士業・コンサルタントを組織し、各専門家の能力を結集したコンサル事業に挑戦中。現在、名古屋商科大学大学院非常勤講師としても活躍。

【 得意専門分野】
経営計画・利益計画の作成、予算実績管理、後継者育成・管理者の自己革新研修、中小企業の事業承継・M&A相談、オーナー・事業主の資産形成・資産防衛管理。

【株式会社Jパートナー】
〒461-0001
名古屋市東区泉1−16−7 K21ビル3F
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