COLUMN
<第35号>

内部統制とその影響

1、新会社法と内部統制

 2006年5月に施行された会社法では、「内部統制」システムの構築は取締役会の専決事項となりました。「内部統制」の対象は上場企業および大会社(資本金5億円以上、あるいは負債総額200億円以上)であり、該当する企業では子会社をふくめて対応に追われているのが現状です。
 一般的に「内部統制」の全体像が理解しづらいのは、リーダーシップをとっている主管庁がないという点が挙げられます(このような問題で役所を頼りにするというのも変なのですが)。まず新会社法では362条で「内部統制」を義務付けはしていますが、このなかでは「内部統制」とは具体的にどのようなものなのかは触れられていません。実態面としてのフレームワークとしては経産省による通称「日本版COSO」が考えられます(「リスク新時代の内部統制−リスクマネジメントと一体として機能する内部統制の指針−2003年−」)。しかしながら基本的には上場企業の財務報告と考えた場合、金融庁・東証・公認会計士協会からの各種のルール・提言も無視できません。立法側もこのあたりについて当然気づいており、「日本版SOX法(企業改革法)」の2008年施行にむけ急ピッチに作業を進めているようです。少なくとも「日本版SOX法」が施行されるまでは試行錯誤が続くと思われます。
 本家アメリカでも「内部統制」について1社あたりイニシャルコスト約5億円、ランニングコスト約1億円(年間)を費やしているということを考えると、しばらくは上場企業にとっては頭の痛い時期が続くでしょう。

2、下請業者等にも影響する内部統制

 さて、上場企業でなければ「内部統制」は関係のない話なのでしょうか。
 上場企業では「内部統制」のうちすでに「業務体制や管理規定の確立」・「リスクの把握及び評価」に着手しています。上場企業あるいはその子会社との取引のある企業では変化を感じ取っているはずです。具体的にはIS0は当然のこととして業種によってはPマーク、情報セキュリティーISMSの認証取得をしないと取引できないということが徐々に増えてきています。またリスク対策として販売先だけでなく納入業者・下請け業者の格付けをし、優良な取引先に絞り込んでいく動きも加速しています。該当する経営者の皆さんは「内部統制」対策を優先課題のひとつとして取り組むことをお勧めします。

 

専門家プロフィール
鐘島 一博

【プロフィール】
大学卒業後、1982年地方銀行入社し、16年勤務。1999年(株)オリジン設立。

【コンサルティング実績】与信管理、共済会の設立・運営

【株式会社オリジン】
〒500-8152 岐阜市入舟町1−22−1−201
TEL:058-333-7500 FAX:058-333-7600


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