COLUMN
<第37号>

経営者のための経営計画(4) 〜達成管理といちげつ会議〜

 前回までの連載で中期5ヵ年計画及び単年度計画の策定方法を確認させていただきましたが、計画の立てっぱなしではせっかくの計画が台無しとなってしまいます。そこで毎月の実績のデータと計画とのずれを把握し、いかにしてずれを修正できるかを考えることが必要になってきます。この修正のための管理が計画の達成管理であり、修正の意思決定の場がいちげつ会議です。
 今回はこの達成管理いちげつ会議について確認しましょう。

1、試算表の自計化

 達成管理には毎月の月次試算表が必要です。月次試算表は翌月の半ば当たりに出来上がる企業が多いと思われますが、スピード経営が要請される昨今では実績をいち早く知ることが必要となります。
 その為にお勧めしますのは経理の自社処理(いわゆる自計化)です。自計化ができるようになると月初の早い段階で試算表が作成できスピーディーな計画と実績の対比が可能となります。タイムリーな予実管理データは有力な経営情報となりますが、時期遅れのデータは単なる経理情報となり経営に役立つ度合いは著しく低下します。経理のためではなく経営のための試算表をまずは作成しましょう。

2、達成管理・先行管理

 達成管理はまず「ずれを認識すること」から始まります。「ずれの認識」には人に改善意識を喚起し行動へつなげる機能があります。MP式経営計画では「経営3表・予定2表」により「ずれ」を認識します。
 経営3表には損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書など財務実績状況をまとめた総括表、主要経費を含む損益実績の計画とのずれを把握できる損益実績表、売上区分別実績の計画とのずれを把握できる売上実績表があります。
 経営2表には今後の決算の見通しを確認できる損益予定表と、資金の見通しを確認できる資金予定表があります。特に資金予定表は3〜6ヵ月先の資金見通しなどを確認できるため万が一ショートする場合なども事前に手を打つことが可能となります。
 なによりも意思決定はずれが生じたときにいち早く行うのが理想となりますので、試算表の自計化→経営3表・予定2表の作成はかかせません。なお、帳票作成には時間削減のためコンピュータソフトを利用することをお勧めします。

3、いちげつ経営会議

 いちげつ経営会議は第1月曜日に行う会議が語源ですが月初に行う経営会議を意味します。経営3表をベースに目標達成状況を確認するとともに、累計目標達成のため「現状の課題をどのように解決し、明日以降どう行動するかを決定する経営会議です。良い会議の条件は以下の3点です。

 @会議メンバーは「自分の報告事項」を全員に配布した上で参加しましょう。報告内容は、結果以上に「今後どうするか」に重点を置きます。
 A議論は「過去30%、未来70%」の比率にて議論することです。経営を変える可能性があるのは「未来」のみです。
 B「議事録」を即日、会議メンバーに配布しましょう。「重要報告」「決定事項」「宿題」を共通認識するためにも重要です。

 スピード経営はこのいちげつ会議から始まります。しかも経営会議に参加するメンバーにとっても経営意識が少しずつ高まります。粘り強く継続することで企業体質を変えることができます。

 

専門家プロフィール
楯 泰治

【プロフィール】
昭和63年京都大学農学部農林経済学科を卒業し、株式会社富士銀行(現みずほフィナンシャルグループ)、監査法人伊東会計事務所(現中央青山監査法人)勤務を経て、開業し現在に至る。

【得意・専門分野】
中小企業の事業承継対策・会計管理をベースにした経営コンサルティング、株式公開支援、企業組織の再編、会計監査、ディスクロージャー、公益法人の指導、内部管理体制の整備・運用。

【公認会計士 楯泰治事務所】
〒460-0008 名古屋市中区栄1−16−16 チサンビルサカエ204号
 TEL 052-211-1315 FAX 052-211-1316
 E-MAIL ytate@sb.starcat.ne.jp


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