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<第39号> |
金庫株を活用した事業承継対策
<亡くなった株主の相続人に株式を取得されたくない場合>
旧商法では自己株式の取得を原則として禁止していました。平成に入りこの禁止規定が徐々に緩和され、会社法下では一定の制約*1があるものの、自己株式の取得=金庫株の取得が柔軟にできるようになりました。
その1つですが、株主に相続があった場合、会社はその株式を相続人から買い取ることも可能となりました。かつては株式譲渡制限会社*2であっても、株主に相続が発生した場合、相続人が新たな株主になることを拒否できませんでした。当然その新たな株主が会社にとって好ましくないこともあり得ました。ところが、相続人から株式を買い取ることが可能であればこうした事態を回避することも可能です。
*1 自己株式の取得後の純資産額が300万円を下ることはできないこと、株主総会の所定の決議が必要等
*2 株式の譲渡には取締役会の承認を必要とする会社
【手続・定款変更】 |
株式会社は譲渡制限株式について、株主に相続が発生した場合、相続人に対してその株式を売り渡す請求ができる旨を定款で定めることができます。 定款変更は株主総会の特別決議*3が必要です。 *3 総株主の議決権の過半数(定款で別途定める場合にはその数)を有する株主が出席し、その議決権の2/3以上の賛成をもって成立 |
【手続・売渡請求】 |
株主に相続が発生したことにより、株式の売渡請求を行うためには株主総会の特別決議が必要です。 |
【手続・売渡価格の決定】 |
当事者間において協議します。 |
【会社側の経理処理】 |
自己株式の取得は貸借対照表の純資産の部*4にマイナス表記し、損益には影響を与えません。 *4 旧商法でいう資本の部 |
【税務処理・基本的考え】 |
売渡価格は当事者間の問題であり、税務当局が口をはさむものではありません。しかし、税務の考え方は「課税の公平」です。本取引は純粋に第三者同士の需要と供給によるものとは言いがたく、税務で定める時価が課税の基本となります。 |
【税務処理・会社の処理】 |
時価以下で取得した場合、時価と買取価格の差額は株主からの贈与であり、受贈益が発生します。受贈益は益金算入します。時価を超えた場合、差額は株主に対する贈与となり、寄付金として損金算入が大幅に制限されます。 |
【税務処理・個人株主の処理】 |
所得区分は譲渡所得の分離課税*5(他の所得と損益通算を行いません)となります。売却益に対する税率は20%です。また、課された相続税額のうち、一定金額を取得費に加算することができます*5。 *5 相続開始日の翌日から、相続税申告書の提出期限の翌日から3年以内の譲渡に限り適用 |
【税務処理・時価】 |
基本的に財産評価基本通達による評価額となります。 @純資産価額 貸借対照表の資産を時価評価して1株当りの金額を算出します。この場合において、含み益から42%減額*6する計算を行いません。 *6 相続税の財産評価はその資産を売却した金額で評価します。株式評価において、仮に会社が含み益を有する資産を売却した場合は含み益が実現益となって課税され、会社には税引後の資産が残ります。この課税部分を含み益の42%とみなします。通常の株式評価は含み益部分に対する税金部分を減額しますが、この場合に限り減額しません。 A類似業種比準価額 同業の上場会社の平均株価を基に、利益・配当・純資産価額の3つを当該会社と比準して計算します。 会社が株主から自己株式を取得する際、手続・時価の算定については難しいものがあります。専門家に相談することをおすすめします。 |
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