COLUMN
<第59号>

望ましい人事制度とは

1、はじめに


 「企業は人なり」と言います。人を大切にしない会社に未来はありません。
 会社を永続的に発展させていくには、社長1人の力では出来ません。そこで働く人たちのモチベーション、仕事に対する姿勢、能力などが必要不可欠な要素です。
 従来どおりの人事制度を単に給与の決定、人事評価をするための手段として捉えていては、社員のやる気を引き出したり、経営者が目指すビジョンを実現することが出来ないのはもちろん、会社の発展は望めません。

2、社員が生き生き仕事をする人事制度


 「人事制度は、会社が永続的に発展していくための重要な経営基盤である」と言えます。
 これらの経営基盤には、やりがい、納得性、安心感、好ましい組織風土、適材適所、人材育成など、「人材」を「人財」に変えていくための重要なキーワードが数多く含まれています。会社としての力は充分あるのに、人事制度が上手く機能してないため、つまずいている会社がたくさんあります。

「会社が良くなれば、自分たちも良くなる!」
「この会社で頑張れば、自分たちの夢も叶えられる!」
「この会社にいれば、人として成長していける!」


このような気持ちになれば、人は、自ずとイキイキ仕事をするようになり、経営者とともにビジョンを実現しようと努力をするのではないでしょうか。 これらを実現するカギを握っているのが人事制度なのです。

3、人事制度構築が終点ではない


 「経営トップの思いを人材の役割期待像に落とし込み、これに基づく評価を育成や処遇に反映させること。」人事制度は手段であって、目的ではありません。
 働く人々の満足度と企業の発展に重点を置き、経営目標の達成のため、企業に最もフィットした制度を策定することが肝心です。大企業が職能資格制度を取り入れているから、わが社も同じ制度を導入しようとしても、それを運用できなければ、絵に描いた餅です。かえって従業員の不満の種になり、モチベーションが下がるきっかけになることもあります。

制度の構築と運用の比率は4対6と設定し、制度構築は終点ではなく、むしろ起点として捉え、運用されてこそ価値があるとの考えで、末永い運用を見据えた制度作りが肝要です。

4、良くない人事制度の事例


 最後に、私が相談を受けた良くない人事制度を紹介しておきます。

例1 等級制度を採用している会社で、能力基準が年功的に運用されていた例。
各等級に定員と降格がなかったので、仕事の内容が変わらないのに、年数が経つと等級だけが上がっていき、人件費の高騰と仕事内容のミスマッチが起こっていた。

会社への貢献度(役割)にマッチした等級格付けにし、年功にとらわれない制度へ改正をした。

例2 社長は今の人事制度に社員が満足と考える一方で、社員は不満をかかえている例。
社長は今の人事制度はお金をかけて作ったので、作り変える気もないし、社員も評価制度に満足していると言っていた。試しに社員の一部の人にヒアリングをやらせてもらったら、不満点(制度は良いかもしれないが、運用が上手く行われていないなど、運用面での不満)が多かった。

その点を社長に報告し、運用がしやすい制度へ改正し、今でも運用面でのアドバイスを行っている。元の制度を作った会社は、制度だけ作って運用面でのアドバイスはなかったようだ。
人事制度は制度を作るのも大事だが、運用してこそ価値があると言うことを、社長に理解していただいた。


専門家プロフィール
宇佐美 研治

【プロフィール】
社会保険労務士・NLPマスタープラクティショナー
1975年    立命館大学法学部卒業後、一般企業に就職。
2005年10月 社会保険労務士事務所開設。

【得意専門分野】
人事制度の構築、就業規則の作成・変更、職場活性化のためのコーチング。

【うさみ労務管理事務所】
〒510-0944
四日市市笹川一丁目105-2
TEL 059-321-3089 FAX 059-321-3053
HP http://www.office-usami.com/


【バックナンバー】

▲PAGE UP

〒450-0002 名古屋市中村区名駅5-16-17 花車ビル南館9F
TEL:(052)485-8271 FAX:(052)485-8272
E-mail:office@j-partner.com
ご注意:このサイトはIE5.5またはNN6.1以降のブラウザでご覧下さい。
     これ以前のバージョンではレイアウト崩れ等の不具合を起こす可能性があります。