COLUMN
<第55号>

経営者のための経営計画(5) 〜経営計画の立案目的と効果〜

 1、 経営計画の立案目的


 過去の連載で、経営計画の効果や立案手法、運用方法などをご紹介してまいりました。 今回は、実際に経営計画立案を行った社長の立案理由や感想を使いながら、経営計画の効果などを確認していきたいと思います。

「資金繰りに気を使う経営から脱却して利益を生む強い会社にしたい」 (運送業K.U社長)


 どんなときでも資金繰りの問題は経営者の方にとって最大の関心事ではないかと思います。
今月、来月はもちろんのこと半年後、1年後まで見て資金繰りが大丈夫かどうか、それを知ることができるだけでも経営計画の立案には大きなメリットがあります。
 さらに中、長期的な視点では利益の確保が資金繰りの安定に必要な条件となりますので、 利益計画の作成も資金繰りと同様に重要であるということが言えます。

「これまで漠然と描いていた会社の将来像を具体的な数値として表しその方向を決定する為」
(製造業 A.N社長)


 日常の業務に追われ、なかなか将来のことに頭の回らない社長様はたくさんいらっしゃるのではないかと思います。
 しかし、そんな時だからこそ自分の会社が何のために存在するのかを原点に戻って確認する必要があるのではないでしょうか。 「何のために」が分かれば「何をするか」を決めることはそれほど難しいことではありません。 そして、何をするのかが決まったら本当に実現可能かを数値にして確認してみましょう。そうすることにより、会社の目標をはっきりと見すえた上で目標達成に 向かって日常業務を行うことができるようになるはずです。

「金融機関に対して、リスケジュールを要請する為の5ヶ年の利益と返済可能資金を算出する為」
(旅館業 Y.T社長)


 設備投資や新規事業への進出、運転資金等、様々な理由で金融機関からの融資が必要になるケースがあります。
 しかし、金融機関も黙ってお金を貸してくれるわけではありません。必ず、「お金を返してもらえる」という保証を要求してくるはずです。 それは通常、担保であったり保証人であったりする訳ですが、それ以外にも経営計画書の提出を求められることは多いはずです。
 経営計画書とはまさしく「どうやってお金を返すか」がまとまったものですので、金融機関に対する効果は絶大です。

 お金を借りるだけの計画書に意味が無いのは言うまでもありませんが、金融機関に対する信用強化の為にも経営計画を有効にご活用ください。


 2、 経営計画の立案効果


 最後に経営計画立案後の社長のご感想をひとつご紹介したいと思います。

「それまでは、ただやみくもに頑張るしかなく、今、自分たちがどこにいるのか、わからなかった。
 経営計画立案をすることにより、自社の強み、弱みがわかり、また進むべき道が見えてくる。また
 計画と実績を見比べ、さらに次の目標とするというサイクルが確立した。」(飲食業 K.W社長)

 是非、経営計画を将来のビジョン達成にお役立てください。



専門家プロフィール
楯 泰治
【プロフィール】
昭和63年京都大学農学部農林経済学科を卒業し、株式会社富士銀行(現みずほフィナンシャルグループ)、 監査法人伊東会計事務所(現中央青山監査法人)勤務を経て、開業し現在に至る。

【得意・専門分野】
中小企業の事業承継対策・会計管理をベースにした経営コンサルティング、株式公開支援、企業組織の再編、 会計監査、ディスクロージャー、公益法人の指導、内部管理体制の整備・運用。

【公認会計士 楯 泰治事務所】
〒460-0002 名古屋市中区丸の内3-16-11 丸の内パークマンション303
     TEL 052-951-5771 / FAX 052-951-5775
     E-mail ytate@sb.starcat.ne.jp


【バックナンバー】

▲PAGE UP

〒450-0002 名古屋市中村区名駅5-16-17 花車ビル南館9F
TEL:(052)485-8271 FAX:(052)485-8272
E-mail:office@j-partner.com
ご注意:このサイトはIE5.5またはNN6.1以降のブラウザでご覧下さい。
     これ以前のバージョンではレイアウト崩れ等の不具合を起こす可能性があります。